今日は以前少し紹介した本を、新たにレビューしてみようと思います。仕事が押してて本も読めてないもので。スイマセン。
舞台はパーレヴィ政権崩壊後のイラン。独立国家を求める少数山岳民族クルドの戦いを焦点に繰り広げられる冒険小説。革命防衛軍の兵士たち、そして武器の密輪を生業とする謎の日本人ハジと、志半ばで不具者となったもう一人のハジ。そのそれぞれの事情と生き様が交差する。
まず一言感想を言わせてもらうと、読み終わった後に私まで燃え尽きたという感じでしょうか。本編が始まった時からページを捲る手が止められない。次の展開がどうなるのか、とにかく「心配」でならない。
そして最後にそれまで別個に流れていたストーリーが、「クルド蜂起」によって一挙に収束していく様は見事であるとしか言えません。
この小説には様々な事情を背負う沢山の人物が出てきますが、その誰の生き方も切なく、やるせない。小説という形で俯瞰したその世界の人物たちは、あまりにも一つの事にひた向きで、皆が不器用に見えてしまう。
また登場人物たちが、そのひた向きさ故に徐々に破滅に向かう様は、私が好む暗黒小説にも近いものがあり一種の快感を覚えました(これは私だけの特殊な傾向でしょうが/汗)
読了後は深い余韻が残りました。それは登場人物たちの生はそこで終わったとしても、歴史はこれからも続いていくという時間的広がりを感じさせるからでしょう。
歴史というのは勝者の記録であり、正義も勝者が振りかざす一権利に過ぎない。いわばそのどちらも結局は殺戮の証明であると再認識しました。
だからといって今の歴史が「悪」かといえばそうではなく、ただやはり何もかも善か悪かの二元論では片付けられないのだと確認したって所かな。
また今後、私が中東に目を向ける時は「クルド」の名を何気なく意識してしまう事でしょう。そしてそれは今までの私には無かった思いであり、貴重なものであると思うのです。小説の役目の一つが「問題提起」であるならば、この本は十分にそれを果たしてくれたと思います。
最後になりますが、もちろんエンターティナー性も抜群。難しい話は抜きにしても、本当にワクワクする冒険小説です。ご一読あれ!!
ところで、個人的には船戸与一のBEST1は『猛き箱船』だったりします。『砂のクロニクル』とはまたちょっと違うけど、それもまたいつか紹介したいです。
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舞台はパーレヴィ政権崩壊後のイラン。独立国家を求める少数山岳民族クルドの戦いを焦点に繰り広げられる冒険小説。革命防衛軍の兵士たち、そして武器の密輪を生業とする謎の日本人ハジと、志半ばで不具者となったもう一人のハジ。そのそれぞれの事情と生き様が交差する。
まず一言感想を言わせてもらうと、読み終わった後に私まで燃え尽きたという感じでしょうか。本編が始まった時からページを捲る手が止められない。次の展開がどうなるのか、とにかく「心配」でならない。
そして最後にそれまで別個に流れていたストーリーが、「クルド蜂起」によって一挙に収束していく様は見事であるとしか言えません。
この小説には様々な事情を背負う沢山の人物が出てきますが、その誰の生き方も切なく、やるせない。小説という形で俯瞰したその世界の人物たちは、あまりにも一つの事にひた向きで、皆が不器用に見えてしまう。
また登場人物たちが、そのひた向きさ故に徐々に破滅に向かう様は、私が好む暗黒小説にも近いものがあり一種の快感を覚えました(これは私だけの特殊な傾向でしょうが/汗)
読了後は深い余韻が残りました。それは登場人物たちの生はそこで終わったとしても、歴史はこれからも続いていくという時間的広がりを感じさせるからでしょう。
歴史というのは勝者の記録であり、正義も勝者が振りかざす一権利に過ぎない。いわばそのどちらも結局は殺戮の証明であると再認識しました。
だからといって今の歴史が「悪」かといえばそうではなく、ただやはり何もかも善か悪かの二元論では片付けられないのだと確認したって所かな。
また今後、私が中東に目を向ける時は「クルド」の名を何気なく意識してしまう事でしょう。そしてそれは今までの私には無かった思いであり、貴重なものであると思うのです。小説の役目の一つが「問題提起」であるならば、この本は十分にそれを果たしてくれたと思います。
最後になりますが、もちろんエンターティナー性も抜群。難しい話は抜きにしても、本当にワクワクする冒険小説です。ご一読あれ!!
ところで、個人的には船戸与一のBEST1は『猛き箱船』だったりします。『砂のクロニクル』とはまたちょっと違うけど、それもまたいつか紹介したいです。



