「このミス大賞」シリーズ読書感想文の第三弾です。
始まりの舞台は「人権保護団体のおかげで死刑制度が廃止された」近未来の日本、『キャンプ9』と呼ばれる九州にある刑務所。そこで「復讐に燃えるパパ」たちが引き起こしたテロを切っ掛けに、李燕(リ イェン)こと小燕(ツバメ)は、仲間と共に「完全なシステムの刑務所」から脱獄し……。
「まっとうに生きてねぇつもりなんてねぇもん。おれが普通に生きるのを、社会が許してくれねぇだけの話じゃん」
おおっ、これはもしかして見つけた?! 何がって、今後の要CHECK作家ですよ! めちゃオモシロイっ! 無茶苦茶でアンモラルなアウトローの世界。私の大好きな世界です。
文体、ストーリー、登場人物の台詞回し……とにかくその全てが私好み、カッコイイ。作者自身が台湾出身のせいもあってか、随所に混じる中国語スラングがこれまたCOOL。
これは描写やプロットがどーのとか関係なく、全編を通して狂気が帯電しているような世界観を楽しむべき。もちろんストーリーもちゃんと面白いし、文章もいいですよ! 短文主体のリズミカルで切れのある、私の好きなタイプです。
物語は起承転結というよりも、序破急といった感じですね。
まずは序でツバメ、ミユキ、モモの3人の軽快な会話を中心に、物語の背景やこれから主軸となる人物を紹介していく。
それから「追われるもの」となった彼らが、逃げてばかりもいられないとアクションを起こす動きの多い中盤。
そして最後、まさに急といった感じ。とにかく展開に次ぐ展開。敵が味方に、味方が敵にと、まったく先の読めない状態で、多少忙しすぎるほどに話が進んでいく。
またツバメの行く手に所々立塞がる「カイザー」こと飯島好孝にも注目したいです。動機や人間性の観点からすれば、例えば他のピカレスク小説だったら、こっちが主人公になりそう。
全体的な雰囲気は垣根涼介に近いかな? でも垣根さんの世界よりもドライかな。垣根さんの人物には皆「ゆるぎない信念」があるけど、東山さんの人物はそこまで熱くなく、もっと刹那的──つまり、その場しのぎ的。あとがきにも系統作家として名前が出ていた馳星周と、垣根涼介を足して2で割った感じ、なんて言ったら怒られるかな(汗)
少しだけ気になったのは、主語の欠落が多く、たまに誰の動作なのか分かりにくい部分があった事。その割には不必要な部分で変にフックが多かったり。
でもそんなのは小説を読む上で重箱の隅をつつくようなモノ、物語を楽しむ上では全くどうでもいい訳で……。
とにかく一度手に取ってみても、損はないでしょう。もっともっと売れていい作者だと思うなぁ。
ただし真面目でモラリストな方にはあまりお勧めしません。エロ、グロ、お下劣。割となんでも楽しめる方は是非ドーゾ。
私はこの『逃亡作法』読了後、この作者のその他の著書を即ネット検索し、そして即買いしました。そんな訳で暫く「このミス」シリーズは置いといて、東山さんの他の著書を貪り楽しみたいと思います。ちなみに東山さんジャンプで連載中の『ネウロ』の小説書いてるのね、ビックリ!(今更?)
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始まりの舞台は「人権保護団体のおかげで死刑制度が廃止された」近未来の日本、『キャンプ9』と呼ばれる九州にある刑務所。そこで「復讐に燃えるパパ」たちが引き起こしたテロを切っ掛けに、李燕(リ イェン)こと小燕(ツバメ)は、仲間と共に「完全なシステムの刑務所」から脱獄し……。
「まっとうに生きてねぇつもりなんてねぇもん。おれが普通に生きるのを、社会が許してくれねぇだけの話じゃん」
おおっ、これはもしかして見つけた?! 何がって、今後の要CHECK作家ですよ! めちゃオモシロイっ! 無茶苦茶でアンモラルなアウトローの世界。私の大好きな世界です。
文体、ストーリー、登場人物の台詞回し……とにかくその全てが私好み、カッコイイ。作者自身が台湾出身のせいもあってか、随所に混じる中国語スラングがこれまたCOOL。
これは描写やプロットがどーのとか関係なく、全編を通して狂気が帯電しているような世界観を楽しむべき。もちろんストーリーもちゃんと面白いし、文章もいいですよ! 短文主体のリズミカルで切れのある、私の好きなタイプです。
物語は起承転結というよりも、序破急といった感じですね。
まずは序でツバメ、ミユキ、モモの3人の軽快な会話を中心に、物語の背景やこれから主軸となる人物を紹介していく。
それから「追われるもの」となった彼らが、逃げてばかりもいられないとアクションを起こす動きの多い中盤。
そして最後、まさに急といった感じ。とにかく展開に次ぐ展開。敵が味方に、味方が敵にと、まったく先の読めない状態で、多少忙しすぎるほどに話が進んでいく。
またツバメの行く手に所々立塞がる「カイザー」こと飯島好孝にも注目したいです。動機や人間性の観点からすれば、例えば他のピカレスク小説だったら、こっちが主人公になりそう。
全体的な雰囲気は垣根涼介に近いかな? でも垣根さんの世界よりもドライかな。垣根さんの人物には皆「ゆるぎない信念」があるけど、東山さんの人物はそこまで熱くなく、もっと刹那的──つまり、その場しのぎ的。あとがきにも系統作家として名前が出ていた馳星周と、垣根涼介を足して2で割った感じ、なんて言ったら怒られるかな(汗)
少しだけ気になったのは、主語の欠落が多く、たまに誰の動作なのか分かりにくい部分があった事。その割には不必要な部分で変にフックが多かったり。
でもそんなのは小説を読む上で重箱の隅をつつくようなモノ、物語を楽しむ上では全くどうでもいい訳で……。
とにかく一度手に取ってみても、損はないでしょう。もっともっと売れていい作者だと思うなぁ。
ただし真面目でモラリストな方にはあまりお勧めしません。エロ、グロ、お下劣。割となんでも楽しめる方は是非ドーゾ。
私はこの『逃亡作法』読了後、この作者のその他の著書を即ネット検索し、そして即買いしました。そんな訳で暫く「このミス」シリーズは置いといて、東山さんの他の著書を貪り楽しみたいと思います。ちなみに東山さんジャンプで連載中の『ネウロ』の小説書いてるのね、ビックリ!(今更?)



