![]() | ランドマーク (講談社文庫) 吉田 修一 (2007/07/14) 講談社 この商品の詳細を見る |
鉄筋工の隼人。設計士の犬飼。二人は同じビルの建設現場に携わりながら、その立場の違いからかほとんど接点は無い。だが、それぞれが裡に秘めるモノを抱えたまま、不安定な日々を重ねていくうちに──。
吉田修一さん。めちゃくちゃ好きという訳ではないのだけど、新刊を見つけるとどうしても買ってしまう。そんな感じの作家。すいません、いきなり失礼ですね(汗)
吉田修一さんの作品って、気負いなく入り込めて、いつのまにか読み終わってるって感じ。文が上手く読んでいて全く疲れないからかな。淡々としていてそれでいて引き込まれる文章です。
内容はどこか対照的な二人の男が似たような感じで煮詰まってて、何かが起こりそうで起きない。いや何かは起きてるんだけど、それは主に彼等の内で起こっているから、世界はさほど動いて見えないというだけの話でしょうか。
一見破滅的なアウトロータイプの隼人の『内に抱えるもの』が起こすアクションが、何とも些細なものに対して、おそらく社会的にも成功者の犬飼がラスト辺りで明かす彼の『内に抱えるもの』(それが事実なのかどうかは明かではないにせよ)の方が、とてつもなく破壊的でヤバい。
隼人と犬飼──二人が各々これから失うもの、また得ようとしているものが対称的に描かれていて印象的です。
超高層ビルを真下から見上げた時の感動。その心の裏にある確実な崩壊への不安。まさにそんな相反する二つの感情が織り混ざったような読後感。なかなか味のある本でした。



