活字中毒な日記、また現在進行中の小説(二次創作)を一部公開。
佐藤亜紀『天使』

天使 天使
佐藤 亜紀 (2005/01)
文芸春秋
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第一次大戦中のオーストリア帝国、その水面下で暗躍する諜報員たち。特に彼等の中でも「感覚」なる異形の力を備えたものたちは、各国の諜報機関にとって要となる存在だった。そして主人公・ジェルジュはそんな彼等の中でも、ずば抜けた力を備えていた……。


『ミノタウロス』が面白かったので、手に取ってみました。内容は平たく言えば一種の超能力をもった者たちの、アングラ・スパイ戦争。しかし正直な所、なかなか世界に入り込めず苦労しました。

この作品を読む前に、多少なりとも佐藤亜紀という作者の不親切なものの書き方、世界観、中盤からググッとせり上がる面白さを知らずにいたら、途中で投げ出していた類いの本かもしれません。

佐藤亜紀が不親切だといったのは、物語への充分な背景描写が必要なファンタジーであるに関わらず、そういったものが一切書かれていないからです。とにかく状況描写のみに徹した、ある種ストイックとも言える書き方には驚きます。

でも100ページ、堪えて読む。そうすると正に「感覚」が開くが如く、この物語へ対する世界が徐々に開けてくる。主人公のジェルジュが物語の中で右往左往するのと同様に、読み手の私たちもストーリーに対して抱く混沌や迷いをひきづったまま進んで行く。
そのうちにそれが、本を読んでいるという意識をも逆に薄れさせ、完全に身も心もその世界の住人になっている。

そして読了後。それまで脳内にこびり付いていた何か悶々としていた物が、霧が晴れるように無くなっている。この不思議感覚は知るとやみつきになるかも。

最後になりますが、ラストあたりのサイキック・バトルの描写は圧巻です。その後のジェルジュが気になります。これ書いたら、早く続編の『雲雀』を読もう(笑)


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