活字中毒な日記、また現在進行中の小説(二次創作)を一部公開。
デイビィッド・ピース『TOKYO YEAR ZERO』

TOKYO YEAR ZERO TOKYO YEAR ZERO
デイヴィッド ピース (2007/10/11)
文藝春秋
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戦後の混乱期にある日本で、実際にあった「下山事件」をベースに書かれたもの。ミステリーではありますが事件そのものの謎解きでは無く、テーマは敗戦後の日本警察の闇。ちなみにこの作品は三部作の一作目で、続編は2008、2009年にそれぞれ刊行予定。

色々な意味で凄かったです。まず舞台はタイトル通り「東京」であるのですが、本書の中にある東京は、私の意識の中にある東京とは全く別物です。とても今の日本からは想像出来ない。物語の背景となる時代が1946年……敗戦一年後と、まだ日本がGHQの占領下にあった頃なので当然といえば当然なのですが。

でも本書ではそういった認識以上に、日本にもこういう時代があったのだと、リアルに感じる事が出来ます。戦後の飢餓と貧困に喘いでいた頃の日本を、鬼気迫るとしか言い様がない文体で描写しています。その後の日本に現れてくる、人種差別や裏社会の形成の下地を臭わせます。これは歴史を感覚で理解させてくれます。

その文体がこれまた凄い。何度も繰り返される同じフレーズ、動作が完了されぬまま次の動作を重ねていくような独特の文章。幻想的でありながら、先へ先へと焦燥感を煽られる。粘着質で不気味な恐怖にジワリジワリと周囲を取り囲まれ、じょじょに追い詰められていく。そしてラストは一気に足場が瓦解して「真実」という奈落の底へ……。

読んでいる途中、この作品の世界観に取り込まれ、しまいには悪夢まで見る始末。読んだ本のせいで夢にうなされるのって、夢野久作の『ドグラマグラ』を読んだ時以来だわ。
もうそれだけでも読んだ価値あったなという感じなんですが、この作品はあくまでもミステリー。その「謎」に関してはかなり手強い仕掛けが!!

とにかくビックリな本でした。手強いですが面白かったです。ただ物語の起伏があまりないのと猟奇的な描写が続くので、好き嫌いは別れるかな……。

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